初めての集団生活。子どもの本音とニーズに合わせた具体的な対応策【幼稚園入園をめぐる家族の物語⑯】

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前回までの内容

息子“たける”は、超がつく繊細で感受性の鋭い気質の持ち主。

入園の半年ほど前から「ママが一緒でなくては幼稚園に行かない」と言うたけるの気質に合った集団生活への移行方法を考えてきた。

そこで「慣れるまではママが園に付き添う」という方法を取らせてもらうことに。

 入園式を終え、初登園したたけるの課題が見えたママは先生との面談を申し出た。

 

“たける”のように、繊細さや感受性の豊かさ鋭さ、敏感さを生まれ持つ気質の子のことを、HSC(Highly Sensitive Child)=人一倍敏感な子と言います。

HSCは一般に、集団に合わせることよりも、自分のペースで思案・行動することを好みます。これはその子の独自性が阻まれることを嫌がるほどの「強い個性」とも捉えられるのです。

また、HSCは些細な刺激を察知し、過剰に刺激を受けやすいせいもあって、家や慣れている人や場所では絶好調でも、新しい人や場所、人混みや騒がしい場所が極端に苦手なのです。

さらに他の子は問題なくできることを怖がったり、小さいことを気にしたりしがちですので、「内気」とか「引っ込み思案」とか「臆病」とか「神経質」などとネガティブな性格として捉えられ、「育てにくい子」として扱われてしまう傾向にあります。

これらはHSCの、微妙な刺激や変化を敏感に感知する繊細さ(先天的な気質)にあるのです。

5人に1人は、HSCに該当すると言われています。(*HSCはアメリカのエイレン・アーロン博士が提唱した概念です)

HSC・HSP(Highly Sensitive Person)の特徴

①刺激に対して敏感である。ちょっとした刺激でも感知してしまう。すぐにびっくりする。

②過剰に刺激を受けやすく、それに圧倒され、人より早く疲労を感じてしまう。新しいことや初対面の人、人の集まる場所や騒がしいところが苦手。誰かが怒鳴る声を耳にしたり、誰かが叱られているシーンを目にしたりするだけでつらい。慣れた環境や状況が変わるのを嫌がる。不快な状況や圧倒された状況にいると、冷静さを失いやすい。

③人の気持ちに寄り添い深く思いやる力や、人の気持ちを読み取る力など『共感する能力』に秀でている。細かな配慮ができる。

④自分と他人との間を隔てる「境界」がとても薄く、他人の影響を受けやすい。他人のネガティブな気持ちや感情を受けやすい。

⑤直感力に優れている。漂っている空気や気配・雰囲気などで、素早くその意味や苦手な空間・人などを感じ取る。先のことまでわかってしまうことがある。物事の本質を見抜く力がある。物事を深く考える傾向にある。思慮深い。

⑥モラルや秩序を重視する。正義感が強い。不公平なことや、押しつけられることを嫌う。

⑦自分のペースで思案・行動することを好む。自分のペースでできた方がうまくいく。

⑧静かに遊ぶことを好む。集団より一人や少人数を好む。1対1や少人数で話をするほうがラク。大人数の前や中では、力が発揮されにくい。

⑨自己肯定感が育ちにくい。外向性を重要視する学校や社会の中で、敏感な気質ゆえに求められることを苦手に感じることが多く、人と比較したり、うまく行かなかったりした場合に自信を失いやすい。

⑩自分の気質に合わないことに対して、ストレス反応(様々な形での行動や症状としての反応)が出やすい。感受性が強すぎ、繊細すぎるために、学校や職場での環境や人間関係から強いストレスを感じてしまい、不適応を起こしやすい。人の些細な言葉や態度に傷つきやすく、小さな出来事でもトラウマとなりやすい。

 

子どもの本音とニーズを聴く

 

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f:id:kokokaku:20171105202409j:plain「幼稚園どうだった?」

f:id:kokokaku:20171105185016j:plain「ママと一緒だから楽しい」

f:id:kokokaku:20171105202409j:plain「それなら良かった」

 

初日、たけるはママのところに何度もきました。

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f:id:kokokaku:20171105143601j:plain「どういう時にママのところに行きたいと思うの?」

f:id:kokokaku:20171126202353j:plain「集合が嫌なの」

f:id:kokokaku:20171105142421j:plain「どんなふうに嫌なんだろ?」

f:id:kokokaku:20171126202353j:plain「体育座りで先生の話聞くのは泣きそうになるの」

f:id:kokokaku:20171105143601j:plain「そっかぁ。無理~ってなるのかな、苦手なんだね。

今日は初めてだったもんね。そのうち慣れそうな気はする?」

f:id:kokokaku:20171105142349j:plain「うん、慣れるよ」

f:id:kokokaku:20171105143601j:plain「おぉ、頼もしい。あと、お着替えの時はどうしてママが必要だったの?」

f:id:kokokaku:20171105142349j:plain「恥ずかしい」

f:id:kokokaku:20171105143601j:plain「全部はだかんぼになるのが恥ずかしいのは知ってたけど、パンツでも恥ずかしいんだ。そりゃごめんね、気づかなかった」

f:id:kokokaku:20171105142349j:plain「あとね、人がたくさんいると泣きそうになる」

f:id:kokokaku:20171105143601j:plain「遊びの時も?」

f:id:kokokaku:20171105142349j:plain「うん」

f:id:kokokaku:20171105202409j:plain「なるほど、わかった。それもきっとだんだん慣れていくと思うから、それまでは泣きそうな時はママのところにいくこと、先生に言おうね。

ちなみに、ママのところにくる回数をちょっとずつ減らしていくチャレンジはできる?」

f:id:kokokaku:20171105185016j:plain「うん、いいよ」

f:id:kokokaku:20171105142421j:plain「じゃあ、次は5回までってのはどう?」

f:id:kokokaku:20171105185016j:plain「う~ん・・・うん!」

f:id:kokokaku:20171105202409j:plain「おぉ、すごい。クリアしたら次は4回、3回と減らしていって、もっと進んだらママが1時間抜けるとか?」

f:id:kokokaku:20171126202353j:plain「う~ん、それはまだ!」

f:id:kokokaku:20171105202409j:plain「OK」

 

 

よし。たけると話したことを紙に書いて先生や園長先生に渡そう。

その方がずっと気が楽になるからね。

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 体育座りで先生の話を聞くのが苦手で泣きそうになる 

はじめのうちは苦手という気持ちが勝って母親のところに来るかもしれませんが、それを否定せずに待つうちに慣れて必ずできるようになると思います。

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着替え

着替えは「恥ずかしい」という気持ちがあるとのこと。

「恥ずかしい」いう感情を否定することは避けたいので、

慣れるまで母親のところで着替えたいと思います。

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複数のお友達と関わることが苦手で泣きそうになる

慣れるまで、今は泣きそうになった時母親のところにくるのをOKしたいと思います。

また、母親の膝に乗って充電すると元気が戻って頑張れるというので、その時は場所を変えて充電しようと思います。

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トイレ

男の子用のトイレを使うのに抵抗があり、幼稚園でも個室を利用したいとのこと。

トイレの時は絶対ママが手伝わないといけないと言っています。

ひとりで行けるようになるか、先生に付き添ってもらうことに慣れてほしいと思いますが、本人にとっては特にデリケートな問題のようですので慣れるまでは母親が対応しようと思います。

 

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チャレンジ

1日1日何かにチャレンジしようと話をしました。

まずは、母親のところにくる回数を減らすチャレンジで、

5回まで→4回まで→3回までと減らしていけたらと思います。

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f:id:kokokaku:20171105202409j:plain(これを先生に伝えて意志疎通できていればいちいち葛藤しなくてすむし、たけるも自分のペースで馴染んでいけるはず!)

                       

次回につづく・・・

 (*この物語は、実話をもとにしていますが、個人名や団体名、エピソードの一部に変更を加え、事実と異なるところがあります。)

 (*次回第17話は『先生と面談 ~初登園でわかった課題やニーズ、慣れるまでの具体的なやり方~』の予定です)

 

参考】        文献:『ひといちばん敏感な子』(エレイン・N・アーロン/著、明橋大二/訳 一万年堂出版  2015)

*HSCにとって学校生活は負担が大きく、園や学校への「適応」は簡単ではありません。例えば、新しいことや初めての場所、人が集まる場所や騒がしいところが苦手だったり、予想外のことや変化を嫌がる傾向にあります。そのために学校生活は不安でいっぱいで、とてもつらいものと感じられることが多く、HSCにとって、新しい世界、特に学校という世界に入っていくのは、茨の道を歩いていくことを意味すると言われているくらいです。(p342)

また、物事を始めたり、人の輪に加わったりするなど、行動を起こすのにも時間がかかります。これは細かいことをじっくりと観察し、情報を深く処理(大丈夫かどうか確認)してから行動するためです。

その他、ちょっとしたことを気にしたり、刺激を受けすぎて圧倒されたりすると、落着きがなくなったり、言うことを聞けなくなったり、物事がうまくできなかったりします恥ずかしさや刺激が多すぎて不安を感じる状況や環境では、冷静さや自制心を失って、その子が持っている本来の力が発揮できなくなるのです。

その気質や特性への認識が共有され、慣れるまでのそれぞれに合ったやり方やペースが尊重されると安心ですが、そうでない場合、自己否定感や劣等感、トラウマを抱えやすいのです。

特に幼い頃に母親から無理に引き離された経験は、HSCにとってトラウマになる(強い不安となって残る)傾向があるのです。 

 

アーロン博士は、2015年に日本において翻訳出版された著書『ひといちばん敏感な子』(エレイン・N・アーロン/著、明橋大二/訳 一万年堂出版)の中で、次のような言葉で、HSCを持つ私たち親を勇気づけてくれています。

「HSCを育てるのは大きな喜びです。確かに、自分の子どもが『他の子と違う』ことには複雑な気持ちになるかもしれません。でも『他とは違う子の親になるなら、他とは違う親になる覚悟が必要です』。これがモットーであり、私の座右の銘です」と。(p27)

 

ー著書紹介ー

~幼かったあの日の私を抱きしめに行こう。

本当の私(ママ)になるために。~

というキャッチコピーの本、『ママ、怒らないで。』を出版しています。

ママ、怒らないで。不機嫌なしつけの連鎖がおよぼす病

ママ、怒らないで。不機嫌なしつけの連鎖がおよぼす病