先生と面談 ~子どもが安心して集団生活に移行できる対応について~【幼稚園入園をめぐる家族の物語⑰】

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初めてお読みになる方はこちらからどうぞ→第一話  来年から幼稚園』

 

前回までの内容

息子“たける”は、超がつく繊細で感受性の鋭い気質の持ち主。

「ママが一緒でなくては幼稚園に行かない」と言う、たけるの気質に合った集団生活への移行方法を考え、「慣れるまではママが園に付き添う」という方法を取らせてもらうかたちで迎えた入園式と登園初日。

ママは、初日を過して見えたなれるまでのやり方や課題について、また自分とたけるの存在が与える集団のペースや他の子への影響を考慮し、先生との面談を申し出た。そしてたけるの本音を聞いて対応を考えた。

HSC(Highly Sensitive Child)=人一倍敏感な子 

“たける”のように、繊細さや感受性の豊かさ鋭さ、敏感さを生まれ持つ気質の子のことを、HSC(Highly Sensitive Child)=人一倍敏感な子と言います。

HSCは一般に、集団に合わせることよりも、自分のペースで思案・行動することを好みます。これはその子の独自性が阻まれることを嫌がるほどの「強い個性」とも捉えられるのです。

また、HSCは些細な刺激を察知し、過剰に刺激を受けやすいせいもあって、家や慣れている人や場所では絶好調でも、新しい人や場所、人混みや騒がしい場所が極端に苦手なのです。

さらに他の子は問題なくできることを怖がったり、小さいことを気にしたりしがちですので、「内気」とか「引っ込み思案」とか「臆病」とか「神経質」などとネガティブな性格として捉えられ、「育てにくい子」として扱われてしまう傾向にあります。

これらはHSCの、微妙な刺激や変化を敏感に感知する繊細さ(先天的な気質)にあるのです。

5人に1人は、HSCに該当すると言われています。(*HSCはアメリカのエイレン・アーロン博士が提唱した概念です)

HSC・HSP(Highly Sensitive Person)の特徴

①刺激に対して敏感である。ちょっとした刺激でも感知してしまう。すぐにびっくりする。

②過剰に刺激を受けやすく、それに圧倒され、人より早く疲労を感じてしまう。新しいことや初対面の人、人の集まる場所や騒がしいところが苦手。誰かが怒鳴る声を耳にしたり、誰かが叱られているシーンを目にしたりするだけでつらい。慣れた環境や状況が変わるのを嫌がる。不快な状況や圧倒された状況にいると、冷静さを失いやすい。

③人の気持ちに寄り添い深く思いやる力や、人の気持ちを読み取る力など『共感する能力』に秀でている。細かな配慮ができる。

④自分と他人との間を隔てる「境界」がとても薄く、他人の影響を受けやすい。他人のネガティブな気持ちや感情を受けやすい。

⑤直感力に優れている。漂っている空気や気配・雰囲気などで、素早くその意味や苦手な空間・人などを感じ取る。先のことまでわかってしまうことがある。物事の本質を見抜く力がある。物事を深く考える傾向にある。思慮深い。

⑥モラルや秩序を重視する。正義感が強い。不公平なことや、押しつけられることを嫌う。

⑦自分のペースで思案・行動することを好む。自分のペースでできた方がうまくいく。

⑧静かに遊ぶことを好む。集団より一人や少人数を好む。1対1や少人数で話をするほうがラク。大人数の前や中では、力が発揮されにくい。

⑨自己肯定感が育ちにくい。外向性を重要視する学校や社会の中で、敏感な気質ゆえに求められることを苦手に感じることが多く、人と比較したり、うまく行かなかったりした場合に自信を失いやすい。

⑩自分の気質に合わないことに対して、ストレス反応(様々な形での行動や症状としての反応)が出やすい。感受性が強すぎ、繊細すぎるために、学校や職場での環境や人間関係から強いストレスを感じてしまい、不適応を起こしやすい。人の些細な言葉や態度に傷つきやすく、小さな出来事でもトラウマとなりやすい。

 

先生との面談にあたって、たけるの反応や気持ちを確認し、課題やニーズ、慣れるまでの具体的なやり方について紙に書いてまとめておきました。

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《再掲》

 体育座りで先生の話を聞くのが苦手で泣きそうになる 

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はじめのうちはイヤという気持ちが勝って母親のところに来るかもしれませんが、それを否定せずに待つうちに慣れて必ずできるようになるので、イヤという気持ちを否定せず受け止めるという通過点を大切にさせて頂きたいと思います。

 

複数のお友達と関わることが苦手で泣きそうになる

慣れるまで、今は泣きそうになった時、母親のところにくるのをOKしたいと思います。

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トイレ

男の子用のトイレを使うのに抵抗感があり、幼稚園でも個室を利用したいそうです。

トイレの時は絶対ママが手伝わないといけないと言っています。ひとりで行けるようになるか、先生に付き添ってもらうことに慣れてほしいと思いますが、本人にとっては特にデリケートな問題のようですので、慣れるまでは母親が対応しようと思います。

 

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チャレンジ

1日1日何かにチャレンジしようと話をしました。まずは、母親のところにくる回数を減らすチャレンジで、5回まで→4回まで→3回までと減らしていき、うまく進めば母親が1時間抜けてみる、などです。

            

先生との面談

f:id:kokokaku:20171105143601j:plain「お忙しいところすみません」

f:id:kokokaku:20171201195001j:plain「いえいえ、たけるくん、大丈夫そうですね」

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f:id:kokokaku:20171105202409j:plain「おかげさまです。まだ2日間ですが実際やってみると課題がはっきりしてきて良かったです。

ここで突き放すとたけるは『幼稚園に行かない』と言い出すのが目に見えてますから(笑)」

*HSCにとって、自分の意志でない何か新しいことを始めるとか、刺激が多すぎて不安を感じる状況では、すぐに許容できる限界を超えてしまうのです。

f:id:kokokaku:20171201195001j:plain「保育園に行ってなかった子は他にもいますし、ゆっくりでいいと思いますよ」

f:id:kokokaku:20171105140435j:plain「ありがとうございます。

昨日たけると話をして、何がどんなふうに不安で、どうしたら安心して慣れていけるのか、聴くことができたので紙にまとめてきました。

とにかく今は新しい環境でふいに泣きたくなる時が多いみたいで、そういう時は母親のところで充電すればすぐに戻れるそうなのです」

f:id:kokokaku:20171104145840j:plain「たけるくん、OKですよ。でも今日は昨日より少なかったんじゃない?」

f:id:kokokaku:20171201153914j:plain「うん」

f:id:kokokaku:20171105140435j:plain「そうなんです。母親のところにくるのをちょっとずつ減らしていくチャレンジもできるって言ってましたし」

f:id:kokokaku:20171104145840j:plain「チャレンジ、良いですね!」

f:id:kokokaku:20171105140435j:plain「はい。でも先生、こんなケース初めてですよね」

f:id:kokokaku:20171201195001j:plain「良いと思いますよ。初めてお母さんから離れる時は不安ですからね」

f:id:kokokaku:20171105140435j:plain「そう言っていただけると助かります。

たけるのような敏感で繊細で傷つきやすく、些細なことがトラウマになりやすい気質の子の場合は特にダメージが大きいので」

f:id:kokokaku:20171201195001j:plain「いろんな子がいますからね」

f:id:kokokaku:20171105143601j:plain「そうですね。今だけのダメージで済んで慣れていくことができるんだったら良いのですが、実際は後遺症となってその子の心や人生をとても不安定なものにしてしまいかねないことなのです」

f:id:kokokaku:20171201194743j:plain「そうかもしれませんね…」

f:id:kokokaku:20171105143601j:plain「なので、心の病の予防というスタンスで関わっていきたいのですが…。

ただそれは、集団生活にはそぐわないことが多いので先生にもご負担をお掛けしてしまうだろうなと・・・」

 

*こんな時、たける(HSCの多く)は大人の会話をよ~く聞いています。

 

f:id:kokokaku:20171104145840j:plain「そこは気になさらなくて大丈夫ですよ。ね、たけるくん。そうだ、もう少ししたらオオゴマダラが卵を産み付けて幼虫が生まれるよ~」

f:id:kokokaku:20171104145658j:plain「!」

          

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その後園長先生とも面談をして、同じようなことをお話しました。

「子どもの集団生活への移行にもいろんなかたちがあっていい、どうぞご自由に、たけるくんのペースで楽しく進めていかれて下さい」 という寛容で柔軟な見解を示して下さりホッとしました。

ここでもたけるはじ~っと話を聞いていました。

 

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次回につづく・・・

 (*この物語は、実話をもとにしていますが、個人名や団体名、エピソードの一部に変更を加え、事実と異なるところがあります。)

 (*次回第18話は『入園からの1週間はこんなふうに変化した』の予定です)

 

ー著書紹介ー

~幼かったあの日の私を抱きしめに行こう。

本当の私(ママ)になるために。~

というキャッチコピーの本、『ママ、怒らないで。』を出版しています。

ママ、怒らないで。不機嫌なしつけの連鎖がおよぼす病

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