こんにちは、kokokakuです。
私が夫と共著で出版している本のタイトルは『ママ、怒らないで。』
この『ママ、怒らないで。』
という言葉は、子どもさんからママ(パパ)へのもの、というよりもむしろ、
『ママ(パパ)の子どもの頃の願いである』
それを伝えたくて書いた本です。
多かれ少なかれ、親の怒りやイライラに影響されて育ったことが自分の子育てや子どもとの関係に影響しているからです。
2017年3月に出版した旧版の表紙には、
「不機嫌なしつけの連鎖がおよぼす病」
というサブタイトルが書かれています。
子育て中のママに、手に取ってほしい本ということで売り出されるものなのに、
「不機嫌なしつけの連鎖がおよぼす病」
なんて、少し重たいメッセージを載せてしまって大丈夫かな・・・、
正直そう思いました。
しかし、感想をいただいた読者さんの多くは、
何気なく立ち寄った書店でなぜか目に留まり、
「自分のことだ」
と感じた、とおっしゃるのです。
「不機嫌」
という言葉が刺さる、というのが一番多い意見です。
いつもイライラして怒ってしまう・・・
だからといってコントロールできない
そういう日常が子どもに悪い影響を与えてしまっていたら・・・
という気持ちがある。
だから
「不機嫌なしつけの連鎖がおよぼす病」
という言葉にハッとなるのだと思いました。
出版に関わって下さった方々は、この本が世に出る意味、目的、ニーズを的確にとらえて下さっていたのだな、と感じています。
追記(2021年8月)
その後、大幅な加筆・修正をしたうえで再編集を施し、
2021年3月に新装改訂版を刊行しました。
ママだって怒りたくない
『ママ、怒らないで。』
これはいつの時代も子どもの切なる願いです。
『不機嫌なママ、怖い』
『息が詰まるよ』
『怖くて自分らしくいられない』
『ママの顔色が気になる』
子どもさんからそんなメッセージを感じて自己嫌悪におちいること、
誰にだってあると思うのです。
「どうしてこうなっちゃうんだろう」
「怒ってしまう、イライラしてしまう自分が嫌」
そういう葛藤を繰り返しているママはまず、
前述の子どものメッセージを、自分のものとしてキャッチしてみてもらえたらと思います。
子どもだった頃の自分に置き換えて、同じ気持ちを抱いていたのではないか、感じてみるのです。
記憶になかったとしても、親がどのように自分を育て、どのように関わってきたか、
しっかりとインプットされています。
そして無意識に模倣されるかたちで同じパターンが繰り返されるのです。
ですから、
「もとをだどれば、不機嫌な子育てには自分のせいではない原因があったのだ」
という認識が新たにインプットされたらいいなと思っています。
Nさん
Nさんには2人の子どもさんがいらっしゃいます。
「まったく言うことを聞いてくれず、ペースをかき乱されてばかりで毎日毎日怒ってしまいます。
それでも当て付けのように何度も怒られることを繰り返すので、わざとやってるのかと思ってしまいます。
すると余計に腹が立って、不機嫌になったり怒ったり。
そういう自分が嫌になります。
優しいお母さんになりたい、どうしたらできるんだろう」
という悩みがありました。
誰でも「優しいお母さん」でいて、子どもさんを大切に育てたいと思っていても、
できない時
があります。
子どもさんへの言葉の掛け方や接し方など、様々な情報を参考にして工夫したとしても、悪循環のパターンにはまってしまい結果的に怒ってしまった、という経験はありませんか?
まずは
「どうしてもできない時」
の原因を追ってみましょう。
「どうしてもできない時」
それはお母さんの心の中で『感情が詰まっている』時です。
逆に言えば、感情が詰まっていない時は、心にゆとりが持て、悪循環のパターンにはまることはほとんどないということです。
つまり『感情を詰まらせないこと』
それが不機嫌・イライラ・怒りの悪循環から解放される最重要なポイントなのです。
感情はどうして詰まる?
これは本に詳しく書いていますが、小さい頃からの負の感情の蓄積ですでに心の中がいっぱいいっぱい、ということもあります。
(インナーチャイルド・ワークで行う、過去の体験・その時の感情を再体験しながら解放したり、当時言えなかったこと・できなかったことをやり直したり、安心感を与えてあげるといったセラピーは、その小さい頃から蓄積した負の感情を解放することが目的のひとつです。)
では、それ以外の心の詰まりの原因を追います。
◆日常の中でよくあるわかりやすい原因
①時間や用事に追われている
②心配事があって地に足がつかない
③予定があって、その予定に対する負の感情が存在する(例:PTA、帰省、イベント、来客など)
◆わかりにくい・自覚しづらい原因
①比較・競争・上下の差別・優劣に刺激され、ペースが乱される。
②夫婦間・身内・職場・子どもさんの園や学校関係・友人など、
対人関係で湧いた負の感情が存在する。
心にゆとりがないな、子どもがやたらとイライラさせるな・・・と感じたら、できるだけ早く、これらの原因に気づいて対処することで悪循環を回避できていきます。
【参考】お母さんらしさをなくすような、人との関わり方を見直す
「わかりにくい・自覚しづらい」タイプの対人関係の負の感情による心の詰まりは、次のようなことがきっかけになっています。
- 感じたことや思ったことを言葉で表現するといった自己表現ができない関わり方になっている。
- 相手に抱いた本当の気持ちに蓋がされていて気付かず、感情が処理されないままでいる。
特に相手が目上の人や女性同士の場合、対人関係で不満や怒り、嫌悪感、反感、悔しさなどの負の感情が生まれやすい。
それに蓋をするなど、自分にとって都合の良くない感情を見ないように隠したり、流したり、もみ消したりして、「無いもの」として心の奥底に押し込めてしまいがち。
という点を意識して、「適切な自己表現をする」、もしくは「相手に対する感情(特に負の感情)をそのまま受け止める」ことを大切にしましょう。
その怒りは子どもさん以外の何かへのものです。
子どもに、自発的に怒られようと思ってわざと怒られることをする子はいません。
お母さんの心が詰まっている時に限ってお母さんが困るような子どもさんの行動が起こりがちなのです。
これは一見根拠を持たない不思議な現象のようですが、特に敏感な子どもさんと母親とのつながりは強く、その時の子どもさんは見事に母親の心をリアルタイムで映し出す鏡のようです。
子どもさんの言動は、お母さんに『何かへの怒り(葛藤)』の存在を教えようとしているもの
そう捉えることで、お互いに心を痛めることを防ぐことができたらいいなと思います。
子どもさんを怒りたくなる時、怒ってしまう時、
ぜひお母さん自身の中に“子どもさん以外の何か”への『怒り』の存在を意識してみて下さい。
【参考】心の中の状態を把握しよう
心の中に
『停滞』『波立ち』『溢れ』の状態が起こっていたら、
子どもさんに、
- 「中々止めない、同じことを繰り返す、ひとつのことにこだわる、しつこく絡んでくる(お母さんの感情の『停滞』を示すもの)」、
- 「落ち着かない、走り回る、多動(お母さんの感情の『波立ち』を示すもの)」、
- 「やたらと泣く、何かをこぼす(お母さんの感情の『溢れ』を示すもの)」
といった行動があらわれやすくなります。
これらの行動は、「やたらと」「わざと」「当て付け」のように感じられて、お母さんの怒りを吐き出させるまで続きます。
このように子どもさんの言動は、お母さんの心に連動して起こっているのであって、その子のせいではないのです。
「子どもの頃の私は何ひとつ悪くなかった」
私たちママの子どもの頃も同じで、親の怒りやイライラは自分のせいではありませんでしたし、本当はどんなことでも自由に表現してよかったのです。
罪悪感への対処法
子どもを怒る自分が嫌。
子どもがママを怒らせるようなことをするのは自分の感情の詰まりが原因だとなると、自己嫌悪、自己否定、罪悪感にさいなまれる。
そういうふうに自分を責める気持ちが湧いてくるかもしれません。
実はその自分を責める、または責められているように感じることもまた、「不機嫌なしつけの後遺症」なのです。
子どもを怒ってしまった。
イライラがおさまらない。
そういう時は、自分を否定したり嫌悪する気持ち、罪悪感から一旦離れ、「怒り・イライラ」の対象に意識を向けてみましょう。
「怒り」は人間に与えられた、自分を守るための大切な感情です。
コントロールや、押し殺すことでその場をしのいでは、種が残り続けてしまいます。
「怒り」の存在を認め、大事に感じて解放できるよう、紙に書きだしたり、15分程度でもひとりで静かに心を感じる時間を持つのがおすすめです。
まとめ
その怒りは誰とのことで?
何によって?
それが曖昧なままだと、
お母さんがどんなに丁寧に子どもさんに応じようと頑張ってもまた同じことを繰り返してしまいます。
まずはこのような法則に気づき、
- 怒りの矛先は本当は子どもではない
- 子どもが悪いのではない
という回路がつくられてくると、怒りが子どもさんに向くことが減っていきます。
もしくは怒ったとしても、子どもさんのせいにしたままで終わらせない対処ができるようになっていきます。
少しずつ道ができるように、経験を重ねることで回路がつながっていくことを少しづつ実感できればいい。
そう思います。
さいごまでお読みくださりありがとうございました。
-書籍案内-
『ママ、怒らないで。』は、子どもの切なる願いであり、インナーチャイルド(幼い頃の自分)の願い。
不機嫌、イライラのルーツを知って、本当の自分らしい自分、自信やゆとりを取り戻す子育て・セラピー本を出版しています。